第8章 禁じられた熱
「……何の話をしているのか、よく……。」
絞り出すように言葉を並べても、傑の目は揺らがなかった。
傑「ごまかさなくて良いですよ。」
彼は腕を組み、わずかに首を傾けた。
傑「悟は……君に何かしたんだろう。いや、君が応えたのか?」
その問いかけは鋭い刃のようで、めいの胸を深々と突き刺した。
昨夜のことを思い出す。
悟に押し倒され、拒めなかった自分。
あの熱と混乱。
――どうして、この人にまで知られなければならないの。
「違います……。」
声はかすれていた。
だが否定すればするほど、図星を突かれた罪悪感が表情に滲み出してしまう。
傑はため息をつき、ゆっくりと彼女の顔を覗き込んだ。
傑「……やっぱり、図星か。」
その言葉に、全身が凍りついた。
彼の顔が近い。
逃げ場のない距離感に、呼吸が乱れる。
傑「どうして、悟なんだろうな。」
傑の声は低く、しかし妙に穏やかだった。