第8章 禁じられた熱
傑「君が誰と関わろうと自由だ。でも……悟と、ってのは、私としては見過ごせない。」
「な……何で傑君がそんなこと……。」
問いかけると、彼はわずかに口元を歪めて笑った。
傑「理由は、君が1番分かってるんじゃない?」
その笑みが、意味深にしか見えなかった。
悟の親友である彼が、ただからかっているのか。
それとも――
もっと別の感情が隠れているのか。
「……もう、放してください。」
小さく震える声で言うと、傑はようやく1歩身を引いた。
しかしその目の光は消えていない。
傑「分かった。今は追及しない。でもね、先生。」
意図的にそう呼ぶ声は、妙に重たく響いた。
傑「私は見てるから。君がこれ以上に、悟とどうなるのか……。」
めいは喉の奥が詰まる感覚を必死に飲み込んだ。
図書室の静けさは、まるで自分を閉じ込める檻のようだった。
静かな図書室。
外の喧騒とは別世界のように、ページをめくる音すら存在しない。
本棚に囲まれた狭い1角で、めいは傑の視線から逃れようと必死だった。
けれど、その手が素早く伸びる。
頬を掴まれ、無理やり顔を上げさせられる。
指先は冷たく硬く、けれどその力強さに抗うことはできない。
傑「……悟が、なんでオマエに執着するのか。」
低い声。
瞳の奥に潜む光は好奇心なのか嫉妬なのか、見極められない。
傑「確かめてみたくなった。」
「や、やめ……っ。」
言葉を遮るように、傑の唇が重ねられた。
強引で容赦のない口づけ。
逃げようとした体を本棚と彼の体で押し込められ、動けない。
唇を割り、舌が侵入してくる。
理性は必死に拒否を叫んでいるのに、熱が身体の奥を駆け抜けていく。
図書室という密閉された空間に、呼吸と吐息だけが重なり合う。
「……ん、っ……。」
抵抗の声すら呑み込まれて、溶かされる。
唇を離した傑は、薄く笑った。