第7章 その手は逃がさない
悟「……ここ、もう熱いじゃん。」
囁きながら、指が布越しにゆっくりと擦れる。
教室という場所を忘れそうになるほど、感覚がそこに集中していく。
思わず椅子の背を掴む手に力がこもった。
悟「俺のこと、ちゃんと感じろ。」
悟の声は命令のようでいて、どこか必死さも混じっている。
その必死さが、逆にめいの心を締めつけた。
唇を塞がれながら指先は布の境界を超え直接的な熱が触れた瞬間、全身が痺れるような感覚に包まれる。
悟「……ほら、名前呼べよ。」
悟は耳元に唇を寄せ、低く囁きながら指の動きを速めていく。
机の上には誰もいないはずのプリントが散らばり、椅子の軋む音が空間に混じる。
放課後の教室の空気は、もう完全に2人だけのものになっていた。