第6章 背徳の鎖
悟「……ずっと気になってた。アンタ、誰に触られてんのか、誰に見られてんのか。」
吐息が頬に掛かる。
距離はもう、紙1枚分もない。
悟はめいの頬を指でなぞり、そのまま顎を上げさせる。
視線がぶつかると、心臓が大きく跳ねた。
悟「甚爾先生に触られて……嬉しかった?」
挑発するような声。
だけどその奥には、認めたくない嫉妬が溢れていた。
めいが言葉を探す前に、悟は首筋に唇を近づけ——
ほんの一瞬、熱い感触が触れた。
悟「……俺じゃダメなの?」
囁きと同時に、腰を抱く腕がさらに強くなる。
その力に抗えず、身体が悟の胸に押し付けられる。
心臓の鼓動が重なり、耳の奥で響く。
悟「ずっと、アンタのこと見てたのに……。」
唇が耳元をかすめる。
背筋をぞくりと走る感覚に、息が詰まる。
悟の手が背中をゆっくりと滑り降り、腰骨を撫でるように掴む。
悟「……俺だって、我慢できなくなる。」
押し殺した声が、妙に生々しい。
悟はそのまま椅子ごとめいを引き寄せ、膝の上に座らせるような形になった。
太もも越しに伝わる熱が、現実を突きつけてくる。
悟「なぁ……アンタのその顔、俺だけに見せろよ。」
瞳は熱を帯び、けれど必死に何かを堪えている。
その葛藤ごと、めいを飲み込もうとするような目だった。
唇が触れるか触れないかの距離で止まり、悟は小さく息を吐く。
悟「今ここで……奪っても良い?」
囁きは甘いのに、内容は支配的で、逃げ道を与えない。
返事を待たず悟は頬から顎、首筋へと唇を這わせる。
熱と湿り気が肌を伝い、思考がぼやけていく。
悟「……もう、アイツのことなんて考えられなくしてやる。」
その言葉と共に、悟の腕がさらに強くめいを抱き寄せた。
まるで、2度と離すつもりがないかのように。