第3章 優しい暴力
最初は柔らかく、確かめるように。
だが次第にそれは深く、濃く、まるで“2度と離さない”と告げるかのように激しさを帯びていった。
五条の指がゆっくりとめいの髪に触れ、後頭部を優しく支える。
その手つきはあまりにも丁寧で、あの夜とは違う今この瞬間だけの“関係”を求めているようだった。
悟「……あのとき、後悔した?」
囁かれた声に、彼女は息を呑んだ。
「……いいえ。ただ、怖かっただけ。……気持ちよすぎて、壊れそうだった。」
悟「なら……今日はちゃんと、俺に壊されて。」
言いながら彼はめいのジャケットに手をかけ、ゆっくりと肩を滑らせて落とした。
薄手のシャツが露になり、その輪郭をなぞるように指が這う。
そのたびに肌がゾクリと震え、彼女の呼吸が浅くなる。
シャツのボタンが、ひとつ、またひとつと外されていく。
その手つきは焦らすようでありながら、どこまでも優しい。
まるで彼女の心の壁までも、丁寧にほどくような動きだった。
「もっと……焦って良いのに。」
思わず呟いた彼女の言葉に、五条はくすっと笑った。