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先生と生徒

第13章 絡まる心と体


よりを戻すことになったのは、ほんの出来心のはずだった。

拒めなかった夜がきっかけで、ずるずると彼の腕に絡め取られ、そのまま

彼「もう1度やり直そう。」

と迫られた。

断れば良いのに口が動かず、頷いてしまった自分を女は責め続けている。

それからの日々は、かつての恋人時代よりもずっと重苦しいものだった。

彼「なあ、やっぱり俺じゃないとダメだろ?」

そう言う彼の声が耳にこびりつく。

街を歩いているときも、部屋で過ごしているときも、ベッドの上でも。

ことあるごとにその言葉を繰り返されるたび、胸の奥が冷たく締めつけられた。

最初は冗談めかしたように聞こえた。

だが次第に、まるで呪いのように繰り返されるその言葉は否定すれば嘲笑で返され黙れば当然のことのように受け取られた。

彼「お前さ、あいつらと何があったか知らねぇけど……結局、俺の前じゃ逆らえねえんだろ?」

そう言って顎を持ち上げられ、唇を塞がれる。

女の心は抗いたくても体は反射的に固まり、逃げることさえできない。

彼の言葉は刃のように鋭く、同時に体を求める手つきは荒々しく支配的だった。

そのたびに胸の奥が痛み、羞恥と罪悪感が重なり合っていく。

彼「お前、もう俺なしじゃ生きられないんだよ。」

耳元に囁かれる低い声は、熱を伴って脳を溶かしていく。

女は小さく首を振りたかった。

けれど、振ったところで何も変わらないことを知っていた。

――どうして、ここまでしてしまったのだろう。

退職し、居場所を失った自分に手を伸ばしたのは彼だった。

だがそれは救いではなく、鎖だった。

彼と一緒にいる限り常に支配され、試され、そして縛られる。

それでも関係を断ち切ることができないのは、女自身の弱さゆえだった。

部屋に遊びに来ると彼は当然のように冷蔵庫を開け飲み物を取り出し、ソファにふんぞり返る。

彼「なあ、なんでまだ俺の言うこと聞くのか、分かるか?」

女が答えられずにいると、彼は勝手に続ける。

彼「俺じゃないと、お前はダメだからだよ。」

その言葉に逆らえば、きっとまた苛烈な行為や冷笑が待っている。
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