第13章 絡まる心と体
「……あの人しか……考えられない。最近、ずっと後をつけられてる気がして……ポストに入ってたのも、多分……。」
言葉を途切れ途切れに重ねる彼女の姿は、必死に強がろうとしながらも限界に追い詰められているのが見えた。
甚爾は深く息を吐き、彼女の肩から手を離した。
だがその拳は、怒りで震えていた。
甚「クソ野郎が……。」
押し殺した声。
怒りが滲み出るその響きに、彼女は胸が締め付けられるような不安を覚えた。
「……ごめん……甚爾には、迷惑かけたくなくて……。」
涙を堪えてそう言う彼女に、甚爾は顔を上げる。
甚「……バカか。」
彼の声音は怒りではなく、苛立ちと同時に深い憂いを帯びていた。
甚「迷惑とか……そんなこと考えてる場合かよ。こんなもん、放っておけるわけねぇだろ。」
彼は再び手紙を睨み、指先で強く握り潰す。
ぐしゃぐしゃに折れ曲がった紙は、彼の怒りの熱をそのまま宿しているようだった。
甚「俺の前で、2度と怯えんな。……こんなクソ、俺が片付ける。」
力強く吐き捨てるような言葉に、彼女の瞳からまた涙が零れた。
「……でも、甚爾が危ない目に遭ったら……。」
甚「俺が? はっ、そんな心配いらねぇよ。」
冷たく笑う。
その笑みは自信に満ち、誰にも彼を傷つけられないという確固たる確信がにじんでいた。