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先生と生徒

第12章 執着の果てに


ただ静かに、だが確かに瞳の奥で火花が散っていた。

元カレはそんな悟の様子を愉快そうに眺め、肩をすくめた。

彼「ほらな。めいは俺と一緒に帰るってさ。」

勝ち誇った声音。

女の心臓は張り裂けそうだったが、拒めない。

腰に回された腕は檻のように重く、歩き出す足取りに逆らうことができなかった。

背後に残された悟の視線が突き刺さる。

振り返りたい。

助けを求めたい。

だが、できなかった。

――ごめん。

胸の中でそう呟きながら、女は足を進めた。

夕焼けに染まる街の中、元カレの影に飲み込まれるように。

ただひとつ確かなのは。

悟の瞳に宿ったあの火花は、決して消えることはない――

ということだった。






帰り道、彼女はずっと落ち着かなかった。

無理やり手を繋がれ拒んでも力強く腕を絡められ、まるで逃げ場のないまま家路へと歩かされていた。

元カレは隣で何も言わずに歩きながらも、その眼差しは終始彼女を逃がさないと告げているようだった。

玄関の前に辿り着いたとき、彼女は振り払おうと必死に声を絞り出した。

「……もう帰って。ここまでで良いから。」

しかし彼は口角を吊り上げるだけで、靴を脱ぎ捨てるように家に上がり込んできた。

彼「こんな所まで一緒に帰ってきて、今さら追い返すつもりか? ……ずっとこうしたかったんだ、俺は。」

振り返った瞬間、背中を強く押されリビングのソファに押し倒される。

心臓が跳ね上がり咄嗟に手で彼の胸を押したが、その力は全く通じなかった。

「や……だめ……!」

彼「黙れ。お前、俺のこと本当は待ってただろ。」

低く熱のこもった声。

彼の瞳には嫉妬と欲望が混ざり、理性など一片も残っていないように見えた。

荒々しい口づけが唇に重なり、顔を逸らしても顎を掴まれて逃げ場を失う。

舌が強引に押し込まれ吐息が絡み合い、喉の奥まで侵食されるような感覚に頭がくらくらと揺れる。

「んっ……や……いや……!」

彼「その声だ。俺だけが聞いて良い声……あいつには聞かせねぇ。」

悟の名を出された瞬間、胸が痛んだ。

だがその隙を突くようにブラウスのボタンが次々と外され、下着ごと胸が晒される。
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