第3章 見られる快楽と、こすれる欲望
「ちょ、トイレ行ってくるね」
が立ち上がろうとした瞬間――
すぐに背後から、ぴとっ、と身体を重ねてくる温もり。
「……どこ行くん?」
「だから、トイレ……」
「俺も行く」
当たり前のように返してきたセンラに、思わず振り返る。
「えっ、ちょっと、さすがにそれは……」
「なにが?見てるだけ。触らへん。……でも、ずっと一緒におりたい。お前がどこにいても、俺だけのもんって、実感してたいねん」
そんなふうに言われてしまえば、拒めるわけもなく。
ドアの内側に招いてしまう形になり、が便座に腰を下ろすと、センラはドアに寄りかかって、じっとこちらを見つめていた。
その視線はいやらしさというより、
ただただ、何もかもを見届けたいという執着のようで――
「……見られてると、出ないよ……」
小さく言うと、センラがくすりと笑って一歩近づいた。
「可愛いなぁ。そんな顔、俺にしか見せんのやろ?……その恥ずかしさも、全部ええねん。お前の無防備、俺が独り占めしたいだけやから、気にせんといてや?」
そのままセンラは、しゃがみこんでと視線の高さを合わせる。
「……大丈夫。恥ずかしくてもええ。俺が全部、見届けるから…」