第2章 日常の中の欲
キッチンから洗濯機へ移動する途中も、
ベランダで洗濯物を干す時も――
センラは片時も離れない。
後ろからぴと、と密着してきて、
そのたびに、軽く腰が押し当てられる。
「……んっ……また……」
「ふふ、ごめん……でも、触れてるだけで……気持ちよすぎてさ」
ぴとり。
押し付けた瞬間、センラの身体が小さく跳ねる。
そのまま、吐息だけで果てるのを堪えているような仕草。
「……お前の柔らかさ、反則やねん……っ」
視線も言葉も甘いのに、身体だけがどうしようもなく求めてくる。
日常の中に溶け込んだセンラの愛。
それは、さりげないのに深くて、
“触れるだけ”で、何度でも満ちていく――そんな愛欲のかたちだった。
それでもまだ、この時点では“ぎりぎり”で抑えられていた。
──本当の“限界”が来るまでは。