第2章 日常の中の欲
「……よし、そろそろ起きよ?」
がそう呟いた瞬間、センラの腕がさらに強く締まる。
「……やや、まだ。もうちょい……」
背後から、耳元へ落ちてくる掠れた声。
さっきよりも少し深くて、甘さと執着が混じったようなトーン。
「布団出たら、お前の匂いが逃げてまうやんか……」
そう言って、センラの腰がゆっくりと押し当てられてくる。
柔らかい尻に沿って、熱が“そこにある”ことを再び知らせてくる。
「……んっ……センラさん……」
さっきと変わらない、擦るわけでもなく、ただぴたりと密着してくるだけ。
でも、それがたまらなく――じわじわと火を点けてくる。
「……これだけで、もうダメかも」
が小さく漏らすと、センラが耳元でふっと笑う。
「ふふ、そうやろ。
だってさっきからずっと、お尻のとこ……ピクピクしてるもんなぁ?」
「……うるさい」
「可愛いねん。朝のぬくもりと一緒に……お前の反応、全部感じてたい」
色々な攻防の末やっとの思いで布団から出たがキッチンへ向かおうとすると、
すぐ背後から、ぴと、とセンラがくっついてくる。
「……どこ行くん?」
「朝ごはん作るだけだよ?」
「それでもや。今日の俺は、ずっとお前にくっついてるって決めたから」
腰にぴたりと腕が絡み、キッチンまで一緒に移動。
まな板の前に立つの背中に、センラの身体がそっと重なってくる。
「……うわ……お前の香りと、ご飯の匂い混ざって……ヤバ」
「や、やめてよ……」
「んー……でもなぁ……」
ぐぅ……と腰を押し当てられる。
まだズボン越しなのに、じんわりと伝わってくる熱。
その感触に、が小さく息を詰めた。
「……ふふっ。なに、今ので反応したん?
動かしてへんのに、あかんなぁ……敏感やな、ほんま」