第1章 1
メンバーチェンジ後、私も悠美もスイスイ球を入れられるようになって行った。
狙った通りに球が動いてポケットに吸い込まれるように入ってくれた時の感動は筆舌しがたい。
「ん…ここらへん…かな」
「ええ狙いじゃな。じゃが、この角度だとこっちに逃げややすいき、ここらへんをちょっと弱めに打ってみんしゃい」
「む。ここね!!」
「腕が伸びてる感じせんか?ここらへんを持ってやった方が、先端がぶれんぜよ」
「わかった!!」
なんと分かりやすい仁王さんの教えっ!!!
「ふむ。接点と中心点を考えると…障害物があるから弱めってことね…ん。あぁ、肘の角度が開いてるのか…ありがとう」
隣で同時進行で学んでいってる悠美の呟きが聞こえる。こういう覚え方をするタイプは絶対に景吾の教え方がいいわ。と心で思った。
「あ、外したわ…」
「狙いは良かったんじゃが、意識して力が弱すぎたんじゃな。でもいい線いっとるよ」
「ありがとう!!!」
私が失敗したので、悠美のターンになる。
悠美が落とす球を決定して、計算を始め、構えをとる。
「あのサイドポケットが0とすると、これが20の位置にあるだろ。ここからあの位置に打てばいいが、手玉がちょっとずれてるのが分かるか?」
「うん。まっすぐに打ったら狙い通りに動いていかないから…21あたりを強めに撞けばいいかな…」
「わかってるじゃねぇか。やってみろ」
「オッケー!!」
だから、説明が難しすぎるんだって…何をもって20と言ってるのか、何が21なのか分からないわ
「やった!計算通りっ!!手玉も綺麗に止まったーー!!!」
悠美が撞いたボールは、的球に当たると綺麗に止まってしまった。的球は綺麗にポケット内に。
この短時間で計算できる頭になっちゃったの!?オソロシイ子っ!!!
「次はこれに挑戦するわ!!」
「肘の角度がブレてる。脇も開きすぎだ。」
「オッケ!!肘関節90度でキューと平行に腕を…と」
「位置が微妙だな…もっと撞く位置をズラせ。9と10の間くらいを強めに…だ」
「…あ、そういうことね。ラジャ!!」
…だから、指導内容が高度なんだって…
ほんと…理系のそういうところよ!!!