第5章 ウンドウ
「渡橋!渡橋!いるか!?」
『ん?』
控え室で砥石を使って爪研ぎをしていたのを一旦中断し扉を開けると息を切らした砂藤くんが。
『あれ、砂藤くんレクリエーションじゃ、』
「いや、そうなんだけどよ!借り物競走のお題が、猫で!」
『あ、それで私…』
「悪ぃ!すぐに終わらせっから着いて来てくんねぇか?」
『良いよ良いよ!行く行く!』
私と砂藤くんは控え室を飛び出し会場へ…
「ああ?んでテメェら2人で走ってやがる」
走ってたらなんとも不機嫌な勝己に出会った。だけど、今は借り物競走中。呑気に話している余裕などない。
「あ、ば、爆豪!今借り物競走中で…」
『今急いでるから!じゃ!』
「あぁああ!?」
説明しようとする砂藤くんを引っ張り再び走り出す。正直、勝己に説明なんてしなくたって。説明義務なんてないし。
「い、良いのか!?」
『なんで?別に話さなくても良くない?』
「え、お前ら、付き合ってるんじゃねぇの?」
『はぁああ!?』
廊下を走る足が止まる。私たちが、?ツキアッテル?
『ば、バカなこと言わないでよ!誰があんな凶暴小二野郎のこと好きになんのよ!べ、別にそんなんじゃないもん!』
私はなぜか、ポカーンとする砂藤くんを置き去りにして会場へ走った。
「……ツンデレか、?」