第5章 ウンドウ
顔面から思いっきりすっ転んでしまった恥ずかしさを押し除けなんとか立ち上がった。また凍った地面から飛ぼうとしてもすっ転ぶだけだ。
私は両手を凍った地面に着け、一気に爪をたてて氷をバリバリに砕いた。これなら飛べる。氷が砕かれて元の地面が剥き出しになったところへ足をつき思いっきり空へ駆け出した。
先頭の轟くんとは距離ができたがおそらくまだ先頭集団にいるはずだ。斜め前には勝己がいる。負けてたまるか。
その後、入試の時に対峙したロボットを難なくぶち壊しながら上空から飛び越えた。崖は私の得意ジャンルだ。次の足場までの距離を頭に入れながら助走をつけて飛びながら、うまく着地ができるように位置と高度を調整する。
そして、
『地雷か…』
さっきの崖と同じように飛び越えてしまおうとも思ったけど、いや、これ着地ミスったらとんでもないことになるな、と思って序盤は様子見も兼ねて慎重に行った。
そんな風にノロノロと歩いていたらどんどん他の生徒に抜かれて行った。
このままじゃまずい。
遠く前には勝己と轟くんが戦闘争いでやり合っているのが見える。負けるわけには行かない。
私は、賭けに出た。
−おおーっと!?今まで先頭集団に食らいついていたA組渡橋が思いっきり空に打ち上げられたぁ!?スゲェ高さまで飛んでるぞ!?その勢いで一気に先頭へ躍り出るかぁ!?−
右足を安全な地面に着き踏ん張る。そして左足で地雷を踏んで爆風になんとか乗ることに成功した。爆風+浮遊の個性でおそらく30mほど飛んでいる。
ここから地面へ重力に乗って斜めに走っていけば先頭に追いつけるだろう。
これは、勝った、かもしれない!
と感じた刹那、ものすごい勢いで飛んでいった出久にあっという間に抜かされ、その後もあの3人を抜かすことができなかった。
第一種目、障害物競走は結果4位に終わった。