第5章 ウンドウ
いよいよ始まった雄英体育祭。私は速る気持ちを抑え、第一種目の障害物競争に臨んだ。
−おーっと!A組渡橋!個性の浮遊を活かしトップに踊りでタァ!浮遊距離はどんなもんダァ!?このままお空飛んでぶっちぎりの1位フィニッシュなるか!?−
スタートすぐにみんながぎゅうぎゅう詰めになっておしくらまんじゅうをしている間に、私は空を駆け抜けトップに出た。
父の個性は浮遊だ。好きなだけ、好きな距離、高さをぷかぷかと飛んでいける。
私にもその個性因子が遺伝し数cm程度、ゆっくりな速度でなら浮遊することはできるのだが、距離や高度、スピードを出すには空気を蹴って駆けなければならない。
この数日のトレーニングで高さは5mから8mまで、距離も以前の倍は飛んでいられるようになった。スピードも地上を走るよりも速くなった。
正直障害物競走は私の得意分野だ。空を駆け抜けながらコースアウトしないように高度には注意だ。
誰よりも早く駆け出したのだが、着地した瞬間、横にスッと冷気が流れた。
『寒っ!』
「こんなところで抜かれてたまるか」
轟くんが現れあっという間に抜かれてしまう。一瞬にして周りの空気が冷え体の動きが衰えたが、なんとかぐっと持ち堪える。
ヒーロースーツは保温性抜群になるよう作ってもらたが、今日は体操服だ。
気合いで行くしかない。
なんとか踏ん張って再び飛ぼうと足を踏み込んだのだが、ちょうど足元が凍っており思いっきり、顔面からずっこけた。