第4章 セナカ
『ニャァアア!!!!!』
様子の変わった芹奈は男を蹴り上げ顔面に斬撃で爪痕を残した。男はあっけなく倒れ、芹奈は周りに見える敵たちの元へ空気を蹴りながら爪で斬撃を送った。
『ニ゛ィイイイイイ』
電柱のてっぺんに佇む彼女は本物の猫のように背中を丸め、虎やライオンを感じるような覇気を纏っていた。
先ほどまで彼女がいたあたりには、敵たちが体のいたるところから出血をしながら倒れている。
「渡橋さんっ!」
周りの敵を倒し芹奈の姿を見つけた尾白が軽い身のこなしで横の電柱へ飛んでくる。が、彼女の放つ異様なオーラに眉を顰める。
「渡橋さん、?大丈夫?」
『にぃぃぃぃぃぃ…』
赤黒く発光した瞳が尾白を捉えた瞬間、空を駆け出した。
「渡橋さんっ!?どうした!?何かされた?」
まるで獲物を見つけた豹のように芹奈は尾白の尻尾目掛け飛びかかる。
身軽な尾白は難なく彼女の攻撃を避けるが、芹奈は止まらなかった。攻撃を続ける芹奈に尾白は避けながら声をかけるが、一向に彼女との意思の疎通は叶わなかった。