第4章 セナカ
『はぁはぁ…永遠に湧いてくる…虫か!』
敵の黒い霧によって尾白と共に火災エリアに飛ばされた芹奈は、うじゃうじゃと湧く敵を自慢の爪の攻撃で片っ端から再起不能にしていった。
ボワっ!
『ヒィッ!!』
背後を取られた敵の個性が運悪く彼女の最大の弱点である炎の個性だった。怯んだ隙にその敵に足元を掬われ馬乗りされる。
『くっ…離せ!』
「ヒーローの言うこと聞く敵がどこにいんだよ?嬢ちゃん」
ニヤリと怪しげな笑みを浮かべた敵はヒーロースーツから覗ける脇腹をスゥッと撫でた。
『やめっ!このっ!』
「ガキとは思えねぇエロい身体してんじゃねぇか?あ?」
『いやっ!!』
強く胸板を押し上げようとするが抑えられた手がびくともしない。彼女の武器は素早い動きと爪だ。強い力に抑えられると何もできない。自身の不甲斐なさに歯を食いしばった。
「暴れると、炎で脅かしちまうぞ?」
どうやら男の個性は口から火が吹き出せるらしく、芹奈の顔面に向けて火を吹いた。
『くっ…ぁああああああ!!!!!!』
涙をほんのり浮かべながら、芹奈はぎゅっと目を瞑った。が、敵を目の前にして目を瞑るなんて、と気合で目をこじ開けた。
刹那、
芹奈の瞳は赤黒く光りだし、謎のオーラに身を包まれた。