第1章 カンケイ
「あれ、でも今日体力テストで空飛んでたよね?猫じゃないの?個性」
『猫はね、お母さんの個性なんだ。つまり、猫にできることは大体できる、的な。それで、お父さんの個性が浮遊なの。そんな2人の間に生まれた私の個性は、“空駆ける猫“』
「何それちょーかっこいい!!」
「なんか有名な文豪のお話でありそう!かっこいいなぁ」
母が三毛猫そっくりな風貌をしていたため、私も耳と尻尾は三毛猫仕様である。髪の毛も3色が混じり合っていて今日もそうだが三つ編みをするとなんとも可愛い模様が出来上がるのでこの体質には感謝している。
「でも、幼馴染のあの2人、なんであんな仲悪いの?」
『んー…出久の方はむしろ勝己に憧れてたんだけど、なんか、勝己は中学入って思春期入ってからあんな感じなんだよね…聞いても教えてくんないし、男の事情に首突っ込んでくんなブス!って怒鳴られるよ』
「芹奈ちゃんのルックスでブスって…基準おかしいよ」
『えへ、ありがと…まぁ勝己の口の悪さは折り紙付きだし、誰に対してもあんな感じだから無視しちゃって良いからね』
タイミング良く運ばれてきたチーズケーキを口に運ぶと甘みと酸味のバランスの取れたチーズの風味が広がった。
『うんまぁ…!』
「わ、尻尾動いた!」
『あ、そう。ごめん。どうしても感情が昂ると動いちゃうんだよね』
「可愛いけど…なんかエロいね」
『あぁ…勝己にも言われる。無意識に誘惑してくんじゃねぇクソビッチが!って…私だって別に処女だし…尻尾動くのも生まれつきなんだから仕方ないのにさ…』
「ねぇねぇ、さっきから話聞いてて思ったけど、爆豪、芹奈のこと好きなんじゃ?」
『……え?』
「うん。絶対好きだと思う!芹奈ちゃんは?どう思ってるの?」
『いやいやいや。絶対あり得ない!うん。ないないない。それに、さっきも言ったでしょ?私は相澤先生みたいな人がタイプなのー』
何か言いたげな2人を無視してチーズケーキを口へと運ぶと再びおいしさで尻尾が揺れる。勝己が私のこと好き…?うん、ないない。都合の良い道具としか思ってないでしょ。いまだにケーキに手をつけない2人のケーキを狙ってみると全力で阻止され、この話題は終幕した。