第13章 ヒーロー
『大人しく玄関から入ってこようとは思わないわけ?』
「うるせぇ!俺は今外出禁止なんだよ!」
騒音の犯人は予想通りで、鍵を開けると当たり前のように部屋へ入りベッドにどっかりと座った。
『いや結局出てんじゃない』
「外の地面に足ついてねぇからこれはセーフだろ」
『どんな理論よそれ』
眠気も飛んでしまったしどうしようかと椅子に座ってみる。
いや、勉強する気にもならないな。お腹減ってるし。
うーん。ぼーっと部屋を見回していると鋭い目つきと目が合う。
「お前、敵に捕まってたんだってな」
『勝己だって』
「お前、何された」
『っ……』
「聞いたぞ、半分野郎に助けられたって
体はボロボロで意識もなく病院に連れてかれたんだってな」
『そうだ、轟くんにお礼言っとかなきゃ』
「話逸らすんじゃねぇ!」
『っ』
ベッドから立ち上がった勝己がズンと距離を詰めてくる。見上げる前に顎を片手でがっちりと握られ強制的に上を向かされる。
「何された。全部洗いざらい吐け」
『……マタタビ嗅がされて、ずっと…乱暴に犯された』
「マタタビ?」
『猫の個性がある人間にとってマタタビは強力な媚薬なんだよ。
それも、エッチなことしないと倦怠感とか高熱が出る厄介な…』
「前に気持ち悪りぃ手紙よこした猫を守る会とかいう気持ち悪りぃじじぃか。それ」
『いや、それとは違う…んー…一から話すと色々長くなる』
「全部話せ!洗いざらい吐け!」
『取り調べか』