第13章 ヒーロー
『…ってことで、炎猫獣狙いの炎個性の敵の仕業で…』
「それでテメェ半分野郎に股開いたってか」
『言い方!…まぁ、そうだけど』
遡ることエンデヴァー事務所への職場体験。
私の個性、炎猫獣の凶暴性、希少性。
轟くんとの関係まで。
「…で、その敵に犯されまくって乗っ取られたんじゃねぇだろうな」
『わかんない…意識ある内は試されてないと思う』
「でも半分野郎とは1回ヤっただけで効果あったんだろ」
『うん…まぁ職場体験以降炎猫獣試してないからまだ効力があるかはわからないけど』
「………俺に今から犯されまくったら上書きできるかもしれねぇってことだな」
『…は?』
眉間に皺を寄せていた険しい表情から一転、勝己の顔は嬉しそう。いや、嬉しそうというかいかがわしいことを考えている表情。
「今更やだとかほざくんじゃねぇぞ」
『っ…』
クイッと腕を引っ張られてそのままベッドへ押し倒される。
一応退院したばっかなんだけどな。それなりに気だるいんだけどな。
なんて思いながらも、心のどこかで、体のどこかで勝己を求めている気がした。
欲しい。口から漏れてしまわないか心配になる程、心が叫んでいた。
『勝己は、大丈夫なの、?』
「あ?」
首元に顔を埋めて印をつけ始めていた勝己に声をかけると不機嫌そうに顔を上げた。この人は自分のペースを乱されると不機嫌になる。
『勝己も、敵に捕まってたんでしょ。それで、オールマイトに助けてもらっっ!!』
どうやら地雷を踏んでしまったらしい。私の言葉で更に険しい表情になった勝己は乱暴に口を塞いできた。
今までで1番、乱暴で余裕がなかった。
それでも、私は、嬉しかった。