第13章 ヒーロー
「行くぞ、八百万」
「ええっ轟さんっ!」
緑谷考案の爆豪救出作戦が何とか成功した。このまま巻き込まれずに帰ることができれば、俺たちの勝ちだ。
爆豪たちの無事を目視で確認し、2人でこの場をさろうとした。
「っ!?誰だ!」
「轟さん?どうかされましたか?」
「今、声が聞こえなかったか?」
「声…ですか?」
確かにか細い声が聞こえた気がした。多分、あの瓦礫の方。
Mt.レディが吹っ飛ばしたあのビルの破片のあたり。
「…す…けて……」
「っ!聞こえましたわ!あの瓦礫の方!」
「俺が瓦礫を退かせて探す、八百万はサポートを頼む」
瓦礫の元へ走る。
オールマイトたちが戦っているところからはかなり離れている。こんなところまで破片が飛ぶなんてMt.レディの破壊力はとんでもねぇな。
「ここだっ!八百万!」
ビルに立てかけるようにして大きな瓦礫が倒れている。その下に人間の手のひらが見えた。
「ご無事ですか!?私たちと安全なところへ!」
「おい、待て……」
「どうされました?轟さ、…!?」
瓦礫が崩れないように慎重に退かしつつ要救助者との意思疎通を図ろうとした、やっと、顔が見えた。が
それは、ずっと探していた。行方不明者の1人
「芹奈!!おい芹奈!!聞こえるか!目ぇ覚ませ!」
「渡橋さん!!どうして、こんなところに、」
ボロボロの体で気絶していた芹奈。
体は熱い。苦しそうに眠っている。
全身を確認すると片足首が骨折しているのか変色している。
これは、無事。と言えるのか。
「轟さん、タオルケットを出しますわ。これで渡橋さんを包んでください!」
「あぁ頼む」
八百万が出したタオルケットで体を包み、とにかく安全な場所へ、なるべく体へ負担をかけないように走った。