第8章 ケンゼン
『さぁラストは…』
「ぼ、僕は明日診断が出れば母が迎えに来て退院できるだろうから君の手助けは不要だ!」
『だめ』
「っ大丈夫さ!そんなに汚れも見当たらない」
『体の汚れは目に見えるものじゃないですから。抵抗しないで』
飯田くんは両腕を怪我していて動かせない。必然的に私が全て拭くことになるのだが。全然触らせてはくれない。
『ほらー抵抗しないの』
「なぜ逆に君はそんなに平然としていられるんだッ!!」
『…?別に、同級生の体吹くだけだもん』
「…っ。確かにそうだな…だ、だが、同級生の女性に体を触れられるのは抵抗が、」
『はいはい。さっさと終わらせるからねー』
何かぺちゃくちゃ喋っているが、まぁどうでもいいや。エンデヴァーに3人の入院中の世話を任された以上、食い下がるわけにもいかないしな。
怪我をしているところを刺激しないように入院着を脱がすと飯田くんの立派な体が現れた。
『うわぁ…すごく体格いいね。ザ・ヒーローって感じの体格だ』
「ま、まぁな。ヒーローは体が資本!」
『ねぇちょっと筋肉触ってもいい?』
飯田くんの腕や腹筋を触ってみる。すごい、本当に筋肉質なんだなーとボケっと思う。
そういえばさっき出久の体を見た時も驚いたな。聞いた話によると1年前からオールマイトに鍛えてもらってたらしいし、当たり前なんだろうけど。
ただ、私が今まで触れ合ってきた男性陣は筋肉はついてるけどどちらかというと細マッチョ系だったと思う。飯田くんはザ・筋肉質だなぁと感心していると何やら視線を感じた。
「は、早く拭いてくれないか…?」
『あぁごめん。見惚れてた』
「み、みとっ!?僕らはまだ高校生!結婚は早い!!!」
『いや誰も結婚してとは言ってない』
こんなにもテンパってる委員長はレアモノだと思いながら、体を拭き上げ、終わった頃には出久も布団の中から顔を覗かせていた。