第7章 『 ここから 』
夕方。
通信室。
「――異常を確認しました」
政府の声は、いつもより明らかに硬い。
「刀剣男士の外見変化、刀種ごとにパターン化しています」
「薙刀・槍は拡大」
「太刀は精神年齢への回帰」
「短刀は幼体化」
「打刀は……不安定」
「不安定?」
主が、嫌な予感を覚えた瞬間。
「さっきから、俺、腕の長さが変わるんだけど……見てよこれ。
気持ち悪い」
和泉守が、困惑した顔で言った。
「伸びたり、戻ったり……」
「打刀は、主との距離感で揺れる……という事か?」
三日月が、静かに言う。
「心が近づきすぎると縮み、離れると戻る」
「……つまり」
主は、頭を抱えた。
「私が霊力を使いすぎると、みんなの体が、めちゃくちゃになる?」
「はい!」
こんのすけが、元気よく肯定する。
「政府的には、“重大バグ”です!」
「でしょうね……」
大広間を見渡す。
天井すれすれの岩融。
小さくなった鶴丸国永。
巨大化した大包平。
サイズが安定しない打刀たち。
より小さくなった薬研藤四郎。
それでも。
誰一人、主を責める目はしていなかった。
「主よ」
三日月が、穏やかに言う。
「これは、失敗ではない。主が“深く繋がりすぎた”結果とも言える」
「……結果、ですか」
「だからだ――制御を、覚えようではないか」
主は、深く息を吸った。
(守るだけじゃ、足りない)
(ちゃんと、距離も、学ばなきゃ)
監視下本丸の日常は、こうして今日も続く。
少し不便で、少し可笑しくて、かなり異常なまま。
この本丸の変化は、
本丸内の至る所でも起きていた……らしい。