第7章 『 ここから 』
政府の監視が始まってから、本丸の日常は一応――平穏だった。
遠征は出る。
内番も回る。
刀剣男士たちは、以前よりよく笑う。
ただし。
「主」
長谷部の声が、低い。
「本日は、霊力の使用を“最低限”にしてください」
「……努力します」
そう答えた、その直後だった。
最初の異変は、誰もが気づかないほど自然に起きた。
「……あれ?」
朝の大広間。
短刀たちが集まる一角で、今剣が首を傾げる。
「岩融、なんか……大きくないですかー?」
「んんん?そうか??」
そう言いつつも、岩融が立ち上がった瞬間。
天井。
――ぎりっ。
「……」
その場にいた全員が、固まった。
「……岩融さん?」
主が名を呼ぶと、岩融はゆっくり振り返る。
「主よ」
声はいつも通り。
「どうやら、少し“育った”ようだな」
少し、ではない。
明らかに、昨日より一回り――いや、二回り大きい。
と言うよりも……高い気が……。
「薙刀は、霊力の影響を“拡張”として受ける傾向があります」
横から、三日月さんが淡々と補足する。
「……傾向?」
「主の霊力が過剰な場合、戦場規模に最適化される」
「つまり」
「でかくなる」
「簡潔に言わないでください!」
笑い話で済んでいたのは、そこまでだった。
「……主ぃ」
今度は、廊下。
声が、やけに低い位置から聞こえた。
「?」
見下ろすと。
「……え」
鶴丸さんがいた。