第6章 『 誓い 』
朝食の時間。
いつも通りのざわめき。
誰も、何も知らない。
私は、一振を伴って、大広間へ入った。
「……?」
最初に、気づいたのは――大包平だった。
箸が、音を立てて落ちる。
「……」
次に。
「……鶯丸?」
空気が、止まった。
鶯丸は、何事もなかったように言う。
「やあ」
「久しぶりだな」
次の瞬間。
「……っ!!」
大包平が、駆け寄った。
途中で、膝をつく。
「……本物、か」
震える声。
鶯丸は、少し困ったように笑う。
「本物だろうな。主が、そうしてくれた」
大包平は、ゆっくりと、こちらを向いた。
その目には、もう、迷いがなかった。
彼は、深く、深く、頭を下げる。
「審神者よ」
低く、強い声。
「俺は……貴方を疑った。だが、間違っていた」
拳を、畳につける。
「この命」
「この刀」
「この誇り」
すべてを込めて。
「――貴方に、捧げる」
完全な忠誠。
本丸が、静かに、応えた。
結界が、やさしく、広がる。
鶯丸が、小さく呟く。
「……これは」
「面倒な主を、得たものだな」
遠く。
月の名残が消えゆく空を見て、
三日月宗近が、ほんの少しだけ、笑った。