第6章 『 誓い 』
次の日の朝。
空が、まだ薄青い時間。
私は、目覚ましより早く目を覚ました。
胸の奥が、妙に静かで、妙に澄んでいる。
(……今なら)
誰に言われたわけでもない。
確信だけが、あった。
訓練場。
誰もいない。
朝露が畳に残り、空気が冷たい。
中央に、あの刀を置いた。
――鶯丸。
布を解き、私は、ゆっくりと膝をつく。
深呼吸。
(三日月の言葉を思い出して……)
“触れぬように、手を引け”
でも。
今日は――違う。
私は、そっと手を伸ばした。
今度は、守ろうとも、戻そうとも、願わなかった。
ただ。
「……おはよう」
声を、かけた。
その瞬間。
刀身が、強く、確かに、鳴った。
――カン。
折れていた刃が、光に包まれる。
ひびが、“逆向き”に、消えていく。
刃文が、完全な形を取り戻す。
霊力は、溢れない。
削れない。
ただ、循環する。
「……っ」
光が、立ち上がった。
人の形。
布が、風を孕み、そこに――
「……ふむ」
低く、穏やかな声。
「朝から、茶の気配がすると思ったら……」
立っていた。
鶯丸が。
「……ここは」
ゆっくりと周囲を見渡し、私を見る。
「……主、か」
私は、喉を鳴らした。
「……おかえりなさい」
一瞬。
鶯丸は、目を細めた。
「……なるほど」
「これは……大包平が、うるさそうだな」
微笑む。
その瞬間、力が抜けて――私は、その場に座り込んだ。