• テキストサイズ

【刀剣乱舞】満ち欠けに、鶴。

第4章 『 主として 』


かすかに、衣擦れの音がした。

「……?」

反射的に顔を上げる。

布団の上。
眠っていたはずの白い刀剣男士が、ゆっくりと身じろぎした。

「……あー……」

間の抜けた声。

「……ここ、まだ現世だよな?」
「……鶴丸、国永?」

長谷部が息を呑む気配がした。

鶴丸国永は、ゆっくりと上体を起こす。
蒼い瞳が、ふらりと揺れて――こちらを捉えた。

一瞬。
何かを確かめるような、鋭さ。
それから。

「……はは」

軽い笑いをこぼす。

「いやあ、こりゃ驚いた。
目ェ覚ましたら、新しい主が泣きそうな顔で立ってるとはな」

私は、思わず布団の脇に膝をついた。

「……鶴丸さん」

私の声が、震える。

「私――」

言葉を選ぶ前に、口が動いた。

「貴方を、救いに来ました」

静寂。
その言葉が、空気に落ちる。
鶴丸は、一瞬だけ目を見開いた。
そして、わざとらしく肩をすくめる。

「おいおい、物騒だなあ。
俺は別に、助けてくれなんて言ってないぜ?」

そう言って、にやりと笑う。

「それにさ」

視線を逸らし、軽い調子で続ける。

「俺みたいな厄介者に近づくと、主まで痛い目見るかもしれないぞ?」

冗談めかした声音。
けれど。

(……遠回りしてる)

「だから」

鶴丸は、わざと軽く言った。

「近づくな」

一瞬、胸が痛んだ。
それでも。
私は、立ち上がらなかった。
/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp