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【刀剣乱舞】満ち欠けに、鶴。

第10章 『 主と刀である前に 』


「はい、そこまでです」

だけど、よく通る声が割って入った。
一期一振だった。

「お二人とも、主の前ですよ。談にしても、少し行き過ぎです」
「一期、真面目だなぁ」
「真面目で結構です。主が困っているの見えませんか?」

その言葉に、豊前も鶴丸も、はっとして審神者を見る。
ちょうどその横から、もう一人。

「……まあまあ」

鶯丸が、湯のみを置いてのんびりと口を開く。
「月見酒の席で喧嘩とは、風情がないな。茶が苦くなる」
「鶯丸まで」
「喧嘩するなら、せめて酒が減ってからにしてくれ。今はまだ勿体ない」

あまりにマイペースな仲裁に張り詰めていた空気が、ふっと緩む。
豊前は苦笑し、鶴丸は小さく息を吐いた。

「……悪い悪い。空気読めてなかった」
「俺も、ちょっと……な」

二人ともそう言いながらなぜか視線だけは、互いに合わせない。
月は相変わらず綺麗で酒の匂いも変わらないのに。

その夜の縁側だけ、
ほんの少しだけ“言葉にできないもの”が残り続けていた。
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