第10章 『 主と刀である前に 』
縁側に、静かな笑い声が落ちていた。
夜風に揺れる盃の音と、月明かりに照らされた刀剣男士たち。
思いがけない顔ぶれに、審神者は一瞬だけ足を止める。
「……あ」
コーヒー牛乳の瓶を持ったまま立ち尽くすと、最初にこちらに気づいたのは鶯丸だった。
「主か。珍しいところで会うな」
穏やかな声に続いて、三日月宗近がゆるく笑う。
「ほう……これはまた月に誘われたか。夜風に当たるには、少々かわいらしい飲み物だな」
加州清光がくすっと笑い、一期一振は軽く頭を下げる。
「お疲れでしょうに。ご一緒にいかがですかな?」
一文字則宗は興味深そうに瓶を眺め、豊前江は酒瓶を持ち上げて軽く振った。
「こっちは月見酒だ。そっちは……風呂上がりか?」
大倶利伽羅は壁にもたれたまま視線だけこちらに寄こし、
そして――
最後に、鶴丸国永。
何も言わず、ただ一瞬だけ、主を見て、目を細めた。
……ほんの一瞬なのに、
なぜか心臓の音がうるさくなる。