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【刀剣乱舞】満ち欠けに、鶴。

第10章 『 主と刀である前に 』


みんなの視線がこちらに集まる。

「紙は描き足らない分以外なるべく一枚に抑え、『これが困ってます』や『これをお願いします』等思いついたことをいくつでも書いて欲しいです」
「ほう、一枚に全部か」
「面白いな、それ」
「じゃあ俺、部屋寒いって書こ」

早速ざわざわし始める広間。
私は少し笑いながら続けた。

「無理なお願いは通せないかもしれないですが、ちゃんと全て目を通し、読みます。なので遠慮しないでください」

その言葉に、今まで黙っていた刀たちも、少しずつ表情を緩めていく。
隣を見ると、長谷部さんがこちらを見ていた。

「……主」
「どうかしましたか?」
「既に、設置場所に案内板も出してあります」
「……仕事早すぎないですか?」

思わずそう言うと近くにいた鶴丸が吹き出した。

「ははっ、さすが“主至上主義”」
「褒め言葉として受け取っておこう」

長谷部さんは真顔でそう返す。
私はそのやり取りを見ながら、なんだか胸の奥が温かくなるのを感じていた。

(ちゃんと、みんなで本丸作ってるんだ)

命を預かる場所。
戦う場所。
でも同時に、暮らす場所。

目安箱ひとつで、本丸はまた少しだけ“家”に近づいた気がした。
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