第10章 『 主と刀である前に 』
会議が終わり、皆がそれぞれの持ち場へ戻っていく中。
「主」
呼び止められて振り返ると、そこに残っていたのは源頼朝と一文字則宗の二振りだけだった。
広間には、もうほとんど人影がない。
畳に落ちる陽の光が、やけに静かに感じられる。
「どうかしましたか?」
そう聞くと、源頼朝が少しだけ視線を逸らしながら口を開いた。
「そろそろさ、水心子と俺の分の新しい刀装が欲しいかなって」
「刀装、ですか?」
「うん。今のでも戦えないわけじゃないけど、ずっと使っている分だいぶ消耗しているからね。
このまま遠征増えるなら、早めに整えておいた方がいいかなって」
言い方は軽いけれど、内容はちゃんと実務的だった。
「なるほど……確かに、消耗品ですからね」
そう頷いた瞬間。
「その件も含めてだが」
割って入るように、一文字則宗が静かに声を出した。
「私は部屋割りの見直しを希望する」
「部屋割り?」
「このままでも構わぬ。だが、折れた刀も戻り本丸の人数構成は以前と大きく変わった。
生活動線や相性を考え、再配置するのも一案だろう」
淡々とした口調。
でも、その言葉の裏には「この本丸を長く続ける」視点があった。
源頼朝は一瞬考えてから、苦笑した。