第10章 『 主と刀である前に 』
誰も、前のように無邪気じゃない。
誰も、“何もなかったこと”にはしていない。
それでも。
会議が終われば、またそれぞれの持ち場へ戻っていく。
畑に向かう者。
鍛刀場を手伝う者。
縁側で茶を飲む者。
審神者はそれを、ただ静かに見送っていた。
(……ちゃんと、動いてる)
本丸は、前に進んでいる。
でもその中心にいる自分だけが、まだ少しだけ、取り残されているような感覚は消えない。
それに鶴丸は、審神者の方を終始見なかった。
三日月もそれに何も触れず、口にも出さず、という所。
みんなそれぞれの“いつも通り”という感じがした。
“何も言わずに、気を遣っている”
それが、この日常の正体だったとも言えるような……。