第10章 優しさ
腰の奥が焼けるように熱い。
吐息すらも彼に支配されて、逃れる術なんて最初からなかった。
シーツを握りしめていた手は、もう力が入らなくなっていた。
反応を見て悦ぶように、悟はみみの脚をさらに広げて――
奥へ、さらに深く突き刺してくる。
「んぁ、あっ……や、そこ……っ、だめ……っ。」
悟「だめじゃない。もっと気持ちよくしてやる。壊れるくらい、僕のだけにしてやる。」
深く、深く。
快楽の波に翻弄されて、もう何度達したのかもわからなかった。
震える身体を優しく撫でるくせに、その奥で動く悟は容赦がない。
悟「ねぇ……気づいてる? こんなになってるのに、まだ締め付けてくるんだよ。……もう、僕の身体が染み付いてるじゃん。」
片腕で抱えられたまま唇を何度も貪られ、舌を絡められる。
口内すらも彼に支配されている感覚に、涙が滲んだ。
けれど、それは痛みや屈辱ではなかった。
悦びと混じる、混乱。
悟への怒り、恐怖、愛しさ、憐憫――
感情が混ざり合って、もう何が本当なのかわからなかった。
悟「オマエは……僕の“女”だ。僕だけが、抱いて良い身体。僕だけが、壊して良い心。」
喉の奥で甘く響くその声に、意識が蕩ける。
愛されているのだと錯覚しそうになるほど甘くて、それでいて狂気を孕んでいる。
悟「わかるまで、繰り返す。朝になっても、昼になっても。……オマエが、もう僕しか受け入れられない身体になるまで。」
手首を縛るように掴まれたまま、仰向けに押し倒される。
脚を持ち上げられて、奥まで貫かれる。
もう息をするだけで快楽が体内に押し寄せてきて、理性を維持することなどできなかった。
「あっ、ああっ……悟、もう……っ、無理、もうだめ……っ。」
悟「“無理”でも“やめて”も、聞かないって言ったでしょ? オマエの声なんか、もう信じない。身体だけが本音だから。」
腰が打ちつけられる音。
水音すらも熱を孕んで、部屋の中に淫靡に響く。
快楽に呑まれたまま、意識が遠のきかける。
悟「――っ、出すよ……中、汚してやる。僕の形、消えないように焼きつけてやる……。」
熱が奥で弾ける感覚に、全身が震えた。
彼の名を叫ぶ声が咄嗟に喉から漏れて、それはまるで――
甘い呪いのようだった。
悟「……ふふ、良い声だった。ちゃんと、僕だけの女になったね。」