第9章 誰にも触れさせない
貫くような声と動き。
重なる肌と肌。
自分でも知らなかったような声が喉から漏れ、シーツを握る指に力が入る。
「……っ、悟、もう……む、無理……。」
悟「無理でも、まだ終わらせない。終わらせたくない。……オマエを壊してでも、僕のだけになるまで、抱く。」
唇を貪られながら、幾度となく波が押し寄せる。
冷たいはずの彼の体温が、みみの中でどこまでも熱く深く入り込んでくる。
――それが快楽以上に、恐ろしかった。
どこまでも執着してくる悟の愛情。
息をすることすら苦しくなるほどの、重たい想い。
悟「……あの男にもう1度でも近づいたら、どうなるか分かってるよね?」
腰を押さえられたまま、耳元で囁かれる。
囁きなのに、その言葉は命令にも似た重みを持って身体の芯まで染み込んだ。
悟「僕以外、触るな。視線も言葉も、全部僕だけに向けろ。」
行為はなおも終わらない。
けれど、それ以上に彼の言葉がみみを縛る。
痛いほどに――
甘美で、逃れられない檻のように。
悟「……ああ、声が震えてる。……こっちが本音なんだね。」
執拗に深く突き上げるたびに、みみはもはや言葉を紡げなかった。
目の奥が霞んで、熱に浮かされるように身体が痺れる。
指先も足先も感覚がぼやけて、ただ悟に掴まれているという実感だけが全身を支配していた。
悟「さっきまで、他の男の腕の中にいたくせに……こんなに、感じてるじゃん。どういうつもりなの?」
背後から囁かれた声は低く、喉の奥で蕩けるように甘やかで。
それでいて、背筋を凍らせるほど冷たかった。
悟「僕がいないところで……そんな無防備な顔して、誰かに連れて行かれて……ふざけんなよ。」
肩を噛まれる。
鋭い痛みが走って、快楽に溺れていた意識が一瞬だけ現実へと引き戻された。
けれど。