第7章 挑発
だがその笑みの奥、彼の全身から静かに滲む"不機嫌"は何よりも濃く鋭い。
悟「へぇ……ずいぶんと楽しそうなことしてんじゃん、宿儺。悠仁の身体、そういう用途にも使えるんだね?」
宿「……女の方が、喜んでたぞ?」
悟「へぇ……そう。」
悟は笑っていた。
だが、声音には微かな棘が刺さっていた。
彼の目に映るその微笑は、いつものように柔らかくはなかった。
表情の端にひくりと浮かぶ、不自然な皺。
指先がポケットの中で強く握られているのを、彼女は見逃さなかった。
宿「さて、そろそろ飽きた……貸してやる。」
そう言って宿儺は軽く笑い、次の瞬間──
その双眸がふっと和らぐ。
荒い息をつきながら、虎杖悠仁が顔を上げた。
悠「……っ、あれ? お、俺……何してた……?」
悠仁の目に、まだ彼女と繋がっていたことの余韻が残っていた。
肌に残る宿儺の痕、唇の腫れ、脚の震え。