第4章 再会
傑「見せてよ。今の君が、どれだけ悟に染められてるのか。私が、塗り直してやる。」
傑の手がシャツのボタンに掛かり、1つずつ外されていく。
女の肌が露わになるたびに、彼の目がそれを貪るように見つめる。
傑「こんなに綺麗なのに……誰かの痕がついてるなんて、許せないよね。私の手で、ちゃんと“上書き”しなきゃ。」
「だめ、お願い、やめて……っ。」
傑「だめなのは、君の方。……私に嘘をついて、隠れて悟に抱かれて、それでも私が優しく笑ってくれると思った?」
鋭い言葉とは裏腹に、傑の手は丁寧に肌を撫でる。
指先が乳房をなぞり親指で尖りを弾くと、女は思わず喘ぎを漏らした。
傑「……ほら。身体は正直だ。」
「いやっ……ちが……っ。」
傑「違わない。私は……君の全部を、知ってるよ。悟よりも宿儺よりも、誰よりも――君の1番深いところまで。」
夏油傑の瞳が、女の奥底を覗き込む。
そこには、執着と愛情と――
そして狂気が、静かに燃えていた。
傑「奪われたなら、奪い返す。それが、私の愛し方だ。」
彼の手が脚の間に潜り、熱く湿った部分を指でなぞる。
ぬるりと音がして女の身体はまた、傑に刻まれていく準備を始めていた。
傑「……悟の痕跡、私が全部、消してやるよ。」
そう囁いた唇が、女の胸元へと降りていく――。
悠「夏油せんせーどこー!?」
野「こっちよ!先生、サボってないで授業準備してくださーい!」
――悠仁と野薔薇の声が、校舎の奥から響いてきた。
その声が耳に届いた瞬間、女は全身が跳ねるように強張った。
傑の手はまだ自分の肌に触れていて、シャツのボタンは3つも外されたまま。
首筋には、唇を押し当てられた直後の余熱が残っていた。
「っ……やば……!」
女は慌てて傑の手を押しのけ、乱れたシャツを掻き抱くようにして立ち上がった。
背中には汗が張りつき、脚はかすかに震えている。
ブラウスの裾を入れ直す手はうまく動かずボタンを掛け違えたまま、必死に体裁だけを整えた。
傑「ふふ……もう少しだったのに。」
傑は穏やかな声で言った。
だが、その目はどこか名残惜しげに女の身体を追っている。
傑「またあとで、ね。……今度は、誰にも邪魔されないところで。」