第3章 緊張感
「はぁ、っ……ん……さとる……っ、もう、無理……っ。」
女の声がかすれ、喉が潤みきって声にならない。
身体の奥を何度も何度も掻き回されて、膣内は悟の熱でとろとろに溶かされていた。
感覚が麻痺し、何度絶頂したかもわからない。
息を吸うたびに熱が肺に突き刺さる。
だが――
悟の動きは止まらなかった。
悟「……まだ、終わりたくない。」
悟の声は掠れ、喉の奥から滲み出るように低かった。
普段の軽やかな調子ではない感情が剥き出しの、抑えの効かない声だった。
悟「オマエの中、気持ちよすぎて……離したくなくなる。」
彼の腰が打ち付けられるたび深く、奥まで擦れる感触が女の身体を震わせる。
ぐちゅ、ぐちゅ……
と淫靡な音が絶え間なく響き、部屋の空気に肌と肌が擦れる匂いが充満していた。
「んぁ……っ、奥、また……! あっ、ダメ、さとる……そこ……っ!」
悟「ほら、締めてきてる。……奥、僕の形で、きつくなってる……。」
悟の汗が首筋に垂れ落ちる。
彼の肌は熱く、火照っていた。
前髪が濡れて頬に貼りつき普段の気怠げな美貌からは想像もできないほど、剥き出しの欲情に染まっていた。
悟「なあ……全部、忘れさせてよ……宿儺のことも、アイツの痕も……僕で、全部消させて。」
女の手を強く握る。
手のひらが互いの汗で濡れ指を絡めたまま、悟は腰をさらに打ちつけた。
悟「……好きだよ。ずっと、オマエのこと……。」
その告白は快楽の熱に濡れながらも、真摯で切実だった。
悟「僕のこと、好きじゃなくても良い。……でも、宿儺の痕は消したい。オマエの中、僕のもんにしたい。」
「さとる……っ、やめ、言わないで……そんなの、言われたら……っ。」
涙がこぼれる。
痛くて苦しくて、それでも胸の奥が熱くてたまらない。
悟の想いは無茶苦茶で勝手で、独占的で――
それでも、ずっと変わらずにみみを見てくれていた。