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転生したら呪術廻戦の世界でした

第1章 転生と閉じ込め


甚「やっと起きたか。」

男が低く言った。

みみは思わず息を呑んだ。

その声、その顔、その存在——

間違いない。

伏黒甚爾。

彼は現実の存在ではない。

アニメで、漫画で、何度も画面越しに見てきた。

現実世界では“虚構”とされる彼が目の前に生きて、息をしている。

「……ここは……?」

甚「知らねぇよ。気づいたら、ここにいた。おまけに、これだ。」

彼が無造作に放った書類のようなものが、ベッドに滑り落ちた。

それは1枚の紙。

達筆とも言えぬ不気味な字体で、こう書かれていた。

――この部屋は2人の性行為が完了するまで開かない。

瞬間、喉の奥が詰まり、みみの思考が白く塗りつぶされた。

理解が拒絶する。

いや、拒絶したい。

しかし文字は確かにそこにある。

「……ふざけてる……。」

甚「俺に言うな。オマエが仕組んだわけじゃねぇならな。」

彼は立ち上がる。

その1歩ごとの重さに空気が震えたような気がした。

至近距離。

みみの前で足を止め、じっと見下ろしてくる。

甚「……だが妙な話だな。」

「え……?」

甚「オマエ……俺のこと、知ってる目してた。起きた瞬間からな。」

心臓が跳ねた。

彼の洞察力は鋭い。

彼は知らない。

みみの元の世界、元の人生、その記憶の中で幾度もスクリーン越しに見た彼の姿——

“伏黒甚爾”という男を。

「……そ、そんなわけ……。」

甚「良いから答えろ。俺のこと、どこで見た?」
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