第1章 転生と閉じ込め
まぶたを開いた瞬間、冷たい空気が肌を撫でた。
鉄と石の匂いが微かに漂う。
女——
みみは身を起こし、そこがどこか理解しようと瞳を彷徨わせた。
窓はない。
薄暗い照明が壁の高い位置にひとつだけ点き、空間の隅々までを照らすには力不足だ。
鉄扉がひとつ鍵の掛かったような気配を放ちベッドとソファと洗面台のようなものだけが、まるで意図的に“最低限”を演出していた。
それよりも。
ベッドの隣、壁にもたれるようにして座る男がひとりいた。
長身で、異様なまでに精悍な肉体。
黒いシャツの前をラフに開け、傷跡の残る口が目に入る。
視線が合った——
その目。
氷のように冷たく、だがどこか壊れたような尋常でない熱を孕んでいた。