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転生したら呪術廻戦の世界でした

第17章 彼女が消えた


実験室を抜けた途端、外気が全身を包んだ。

夜の空気はひんやりとしていたが、女の体は甚爾に包まれていた。

彼の手はしっかりと女の肩を抱いて離さず、その隣で歩く女の瞳には微かな安堵が灯っていた。

敷地の外れへ向かって進むと、暗がりの向こうから2つの気配が駆け寄ってくる。

悟「おい、無事か!」

傑「遅れてすまない! みみ!」

白い髪をなびかせ、五条悟が真っ先に駆け寄る。

その後ろから、夏油傑も血相を変えて走ってきた。

女を見た瞬間、2人はぴたりと足を止める。

乱れた服、青白い顔そして甚爾の腕に抱かれているその姿を見て悟の顔から冗談が消えた。

悟「……どこまでやられた?」

甚「ギリで止めた。それだけだ。」

甚爾が短く答えると悟は黙って頷き、女に近づいて肩に手を置いた。

悟「……無事で良かった。本当に。」

「悟……傑……来てくれて、ありがとう。」

女は微笑みながらそう呟いた。

涙を堪えるようにして、けれど確かな笑顔だった。

傑がそっと女の髪を撫で、柔らかく言った。

傑「もう大丈夫だ。こっちに結界を張った。奴らは追ってこられない。」

――その言葉が終わるか終わらないかの刹那だった。

パンッ――!

乾いた銃声が、夜気を切り裂いた。

「――ッ!?」

すべての者の動きが止まる。

次の瞬間、女の体がぴくりと痙攣し何かに突き飛ばされるようにして前へ倒れた。

「……ぁ……。」

視界が歪んだ。
 
音が遠のいていく。

膝から崩れ落ちる感覚。

胸に、焼けつくような痛み。

甚「――みみッ!!」

叫び声と共に、甚爾が駆け寄る。

女の体を抱き上げた瞬間、指先に触れたのは濃い血――
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