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転生したら呪術廻戦の世界でした

第2章 葛藤


悠「みみ! 本当に、無事だったんだな!」

駆け寄ってきたのは虎杖悠仁だった。

真っ赤な顔で、その瞳にはほんの少し涙が浮かんでいる。

普段は明るく飄々としている彼のその姿に、みみは胸が締めつけられた。

「……ごめん、心配かけて。」

悠「バカ! 謝るなよ、そんなの! ……マジで、2度といなくなるとかナシだからな?」

「……うん。」

そのとき少し離れた柱の陰に立っていた伏黒恵が、目を伏せながら低く言った。

恵「……遅かったら、……五条先生でも届かなかったかもしれないって言ってた。」

「恵……。」

恵「……俺は……俺は何もできなかった。アンタを守れると思ってたのに。」

その言葉に、みみはゆっくりと歩み寄り恵の袖をそっと掴んだ。

「……ありがとう。そう思ってくれただけで、十分だよ。」

彼のまつげがわずかに震え、けれど何も言わず彼は目を逸らした。

野「まーたアンタたち、湿っぽい雰囲気出してんじゃないわよ。」

声の主は、いつものように強気な釘崎野薔薇だった。

だが、その視線は明らかに潤んでいた。

野「ほんっと、どれだけ心配させるのよ。私、怒ってるんだからね。」

「野薔薇……。」

野「泣いてないからね!? ……っていうか泣くわけないでしょ、アンタが帰ってくるくらいで……!」

「……ただいま。」

その言葉と同時に、野薔薇が腕を引き寄せて強く抱きしめてきた。

ふだん暴力的な口調で押し切る彼女の、あまりにも素直なその行動に、みみは言葉を失った。

(ああ……私、ここに……本当にいたんだ。)

体温を感じながら、ようやく実感が湧いてきた。

転生という言葉も元の世界の記憶も、遠いもののように思える。

その場にいた全員が、それぞれの距離感で彼女を包みこむように囲んでいた。

誰もが彼女の存在を“当たり前”として受け入れ愛し、心配してくれていた。

——でも。

ふと、視界の端に影が差す。

高専の屋上。
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