第16章 交差する衝動
甚「……なら、言え。」
「え……?」
甚「“好きだ”って。ちゃんと、俺に言え。」
――言葉にするのは、怖い。
でも、それでも――
伝えたくなった。
「……好き、だよ……甚爾のこと。」
その瞬間、甚爾の眼差しが獣のように変わる。
女を抱きかかえるように押し倒し、唇を深く重ねた。
甚「だったら……もう1回、感じさせてやる。」
指を抜き取り、今度は自分自身を導くように女の中へと沈めていく。
1度満たされたはずのそこは再び熱を受け入れ、さらに柔らかくとろけていた。
「んっ、あ……っ。」
甚「気持ち良いか? 俺の、好きだって言ってくれた口で、ちゃんと答えろ。」
「……きもち、良い……すごく……。」
体が跳ねる。
甚爾の動きは、激しさの中に優しさが滲む。
腰を深く打ちつけながらも彼女の表情を細かく見つめ、時折キスを落としながら、言葉を囁いてくる。
甚「泣くな……もう、怖い思いはさせねぇ。全部、俺が守る。」
「……うん……うん……。」
奥を突かれるたび、快感と一緒に涙が滲む。
それはもう、痛みや恐怖の涙じゃない。
好きな人に、求められているという幸福に溢れたものだった。
彼の動きがだんだんと荒くなる。
女もまた、それを受け止めるように足を絡める。
甚「いくぞ……また、オマエの奥に……全部、出すからな。」
「うん……欲しい、甚爾の……全部、ちょうだい……!」
最後の一突きが深く沈んだ瞬間――
熱が奥に注がれる。
女は震えながら何度も絶頂を迎えるような快感に襲われ、ただ彼の名を呼んでいた。
「……とうじ……甚爾……だいすき……。」
どこまでも甘く、どこまでも熱く実験室という異様な場所で交わされた2人の夜は、そのまま、静かに幕を閉じた。