第16章 交差する衝動
甚「まだ、だ。俺のを、まだ受け入れてねぇだろ。」
ずっと我慢していたかのように甚爾がズボンを下ろすと、そこには剥き出しの怒張があった。
太く、熱を持ち、まさに獣のように脈打っている。
女の視線がそこに吸い寄せられ、思わず息を呑んだ。
恐怖よりも、それを受け入れたいという欲望の方が強くなっていた。
甚「いくぞ……。」
彼の腕が女の腰を引き寄せ、一気に貫かれる。
ずっ、と熱が奥へ押し込まれる感覚。
激しさの中に、深く満たされる感覚が広がっていく。
「あぁっ……! ふ、深い……!」
甚「まだ全部じゃねぇ。ほら……ッ、奥まで。」
彼の腰が打ちつけられるたび、女の体が反り返る。
絶え間ない衝撃と快感。
シーツを濡らす水音と、2人の荒い吐息そして甘く濡れた喘ぎ声が実験室を満たす。
甚「オマエの全部、俺のにしてやる……何も残さず、全部……!」
支配と独占の衝動。
だが、それはどこまでも彼女を守るためのものでもあった。
荒々しさの中に潜む優しさが、女の心に深く刻まれていく。
何度も、何度も。
終わりのないような快楽の波が押し寄せるたびに女はもう1度だけ確かめるように、彼の名を呼んだ。
「……とうじ……甚爾……。」
その呼び声が、彼の最後の理性を焼き切った。
ぐっ、と腰が深く沈み込み――
2人は、共に果てた。
果てたあとの空気は、やけに静かだった。
実験室の中、女の体の下には乱れた白布がくしゃくしゃに広がっている。
呼吸はまだ落ち着かず、胸が小さく上下していた。
足先まで痺れているようで、動かそうとすればふるりと震える。
その身体を、伏黒甚爾の大きな手が包み込んだ。
甚「……寒くねぇか?」
彼は女の肩を自分の胸元へ引き寄せ、冷えた空気から守るように抱き締める。
額をこつりと寄せて、唇を額に落とす。
女はただ静かに、黙って彼の腕に包まれていた。
暖かくて、息苦しいほどに男の匂いがする。
だけど、それが、どうしようもなく安心する。
甚「……さっきのガキに、触られてたな。」
低く、少しだけかすれた声が頭上から降る。
重たく、抑えられた怒気が混ざっていた。
女は、はっとし首を横に振る。
「でも……何もされてない。来てくれて、助けてくれて……。」