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転生したら呪術廻戦の世界でした

第16章 交差する衝動


金属の音が甲高く鳴り、女の体が解放された。

「……ッ、とうじ……とうじ……。」

言葉にならない声で彼の名を呼ぶと、女の目から涙が溢れた。

甚爾は黙ってその身体を抱きしめ、何も言わずしばらく腕の中に閉じ込める。

彼の腕は熱く広く、そして乱暴なようで、どこまでも優しい。

甚「……悪かったな、遅くなって。」

ぽつりと呟かれた声。

女はその胸に顔を埋め、肩を震わせる。

だが――

甚「……その格好……くそ、アイツ……。」

甚爾の眼が、女の乱れた衣服に落ちた。

肩が露わになり、首筋にはうっすらと赤い痕。

明らかに性的な意味で触れられた痕跡が、そこに刻まれていた。

男の体に、怒りが渦巻く。

だがそれ以上に――

胸に溢れたのは、どうしようもない衝動だった。

奪われかけた、自分のものが。

自分が、守ろうとしていた存在が。

その想いが、理性を超えて彼を突き動かした。

甚「……帰るぞ。だがその前に……。」

甚爾の手が、女の顎に触れる。

乱れた髪を払うと、彼は真っ直ぐに彼女の瞳を覗き込んだ。

甚「……オマエがまだ、俺のものであるってこと……改めて、思い出させてやる。」

女の目が見開かれたまま抵抗の言葉を紡ぐ前に、唇が塞がれた。

深く、強く、荒々しいくせに溺れるような熱を帯びた口づけ。

空っぽになりかけていた心が、その熱で満たされていく。

舌が絡み、呼吸すらも奪われるキス。

女の体が震えながらも、無意識に彼の腕にしがみつく。

「ここじゃ……誰か……。」

甚「気にするな。誰も来ねぇ。ここはもう、俺たちだけだ。」

静まり返った実験室。

その冷たい空間に、ただ1つ熱を帯びた2人の息遣いだけが響いた。
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