第14章 交錯する夜
空調は整っているはずなのに、室内の空気はじっとりと熱を孕んでいた。
閉ざされた空間、扉の向こうに誰もいないという安心感。
そして今この場に、3人だけしかいないという危うさ。
悟「……まだ、足りないんでしょ?」
ソファに座る悟が、微笑を湛えながらみみに視線を注ぐ。
その奥には、確かな情欲と独占欲が揺れていた。
傍らで息を荒げている恵も、さっきまでの理性が溶け落ちたまま無言で彼女を見つめている。
理知的なはずの眼差しが、熱に濡れて鈍く光っていた。
彼女の指先は悟の胸元をかすめるように撫でながら、もう片方の手で恵のシャツの裾を掴む。
男たちの温もりが、左右からゆっくりと彼女を包み込む。
密着する肌、擦れ合う吐息そして呼吸のたびに肌の火照りが伝播していく。
「こうして、2人に……挟まれると、息が苦しいくらい……。」
彼女の吐息は熱を帯び、唇がかすかに震える。
その震えを、恵がじっと見つめる。
悟「苦しいなら、やめる?」
と、どこか挑発的に囁いたのは悟だ。
しかし、その手は彼女の腰に添えられたまま逃がす気配は一切ない。
「……ううん。もっと……。」
その言葉を聞いた瞬間、悟の手が彼女の背へとまわり強く引き寄せる。
同時に恵も彼女の手を取って、自分の方へと導く。
3人の距離は、限界まで近づいた。
悟の唇が首筋に触れる。
熱を帯びた吐息が、耳の後ろをくすぐるように滑ると彼女の背筋がびくりと震えた。
恵の手がそっと彼女の膝へ、そして太ももへと這い上がっていく。
視線は逸らさず、真っ直ぐに彼女の表情を見つめていた。
悟「みみ……可愛い顔して、ずいぶん誘ってるじゃん。」
悟の声は低く、艶を帯びていた。
彼女の唇に指先を添えて、そっとなぞる。
そのまま甘く、ゆっくりと唇を重ねる。
深く、焦らすように。
恵もまた、もう一方の頬に手を添え彼女の耳元で小さく囁いた。