第14章 交錯する夜
恵「みみ、かわいすぎる……。」
恵の熱を帯びた声が、耳の奥に響いた。
その直後、悟が彼女の髪に指を絡め首筋を甘く噛む。
悟「こっちは、僕だけの場所。……覚えて?」
「んっ……っ、あぁ、そんなこと……言わないで……っ。」
逃げるように身体をよじっても悟の腕が背中を押さえ、恵の唇が鎖骨に這う。
もう、限界だった。
触れられるたび、声が漏れる。
掴まれるたび、身体が反応する。
「だめ、あっ……もう、やめて……っ、イ……ッ……!」
言葉が切れ、身体がびくりと反応する。
両手がシーツを掴み膝が震え、吐息が高く跳ねる。
その瞬間、悟も恵も彼女をそっと支えるように身体を重ねた。
まるで壊れもののように、息遣いを合わせながら抱き締め合う。
悟「……すごかったね。」
悟が、濡れた髪を指ですくいながら笑った。
恵「……壊したつもりはないけど。」
恵が苦笑混じりに呟くと、みみは目を細めながら2人に身体を預けた。
「……ふたりとも、ずるい……っ。」
悟「うん。でも、もう遅いよ。」
悟がそう言って、肩にキスを落とす。
恵は手を伸ばして、彼女の指をゆっくり絡め取る。
恵「これで……終わりじゃないからな。」
重なった3人の身体の熱が、夜の中に溶けていく。
シーツの皺に刻まれた熱と、まだ続いているような心臓の鼓動。
誰も言葉を発さないまま、けれどそれぞれの想いを抱えて静かに瞼を閉じた。