第14章 交錯する夜

空気が熱を孕みすぎて、息を吸うたびに肺が焼けるようだった。

みみは、悟の腕の中で恵の指の余韻に震えていた。

片方の頬は彼の胸に押し当てられ、もう片方からは恵の熱が伝わってくる。

どちらに身を寄せても逃げられない。

自分のものではない身体が、2人に交互に確かめられ確実に塗り替えられていく。

悟「ねぇ……みみ、どっちが欲しい？」

悟の声は甘い毒のようだった。

耳元で囁かれ、唇が耳殻をかすめるたびに腰が跳ねる。

「そんな……選べない……お願い、2人とも……っ。」

目の焦点が合わないまま、みみは潤んだ瞳で訴えた。

恵「かわい……。」

恵が呟く。

その声は、怒りにも似た熱を含んでいた。

恵「じゃあ……もっとあげる。」

指が絡む。

悟の手と恵の手が、まるで競うようにみみの身体をなぞった。

くびれた腰に、太腿に、背中に――

どこを触れられても、彼女の肌は過敏に反応した。

悟「ほら……もう震えてる。やっぱり、僕の方が……。」

悟の囁きに、恵が苛立つように舌打ちした。

そのまま、みみの顎を掴んで自分の方へ引き寄せると唇を奪った。

「……ッ、ん……。」

キスは深く、まるで呼吸を奪うようだった。

舌が絡まり、唾液が喉奥で混ざり合う。

悟が背後から彼女の胸元を愛撫しているのを感じながら、前では恵が口づけで意識を支配してくる。

「や……もう、だめ、気が……っ。」

恵「大丈夫。俺が全部、受け止める。」

悟「僕もいるよ。――逃がさない。」

恵が彼女の手を強く握り、悟が太腿の内側をゆっくり撫でる。

2人の指が交差し、同時に肌に熱を刻んでいく。

「あ……や、そこ……っ、待って……！」

快楽が膨らみすぎて、脳が処理できない。

自分が誰に触れられているのか、もう曖昧だった。

けれど――

どちらも、心の奥まで入り込んでくる。