第13章 籠の中の鳥
「平気、じゃない……。」
小さく返したその言葉に、恵の喉がごくりと鳴った。
たったそれだけで、沈黙が破られる。
次の瞬間には、彼が歩み寄ってきていた。
ゆっくりと。
けれど、逃げ場のないほどの存在感で。
恵「……じゃあ、止めてやるよ。」
囁くように、苦しそうに。
けれど、次の瞬間には――
彼の手が、頬に触れた。
その指先は熱く、震えていた。
みみはその手に自分の手を重ね、静かに目を閉じる。
それだけで、全てが崩れ落ちた。
恵の唇が触れたのは、ごく軽く。
確かめるように、迷いながら。
だが、みみがその首に腕を回した瞬間、迷いは衝動に塗り替えられた。
口づけは深まり、湿った吐息と共に互いの熱が交わっていく。
舌が触れ合い、吸い寄せられるように溶け合った。
「……んっ、恵……。」
名前を呼ぶ声が、空気を震わせる。
その甘さに恵の理性が焦げついた。
彼の手がみみの腰に回され、背を強く引き寄せる。
柔らかい身体が胸に押しつけられ、熱がぶつかり合った。
「ずっと……我慢してた、のに。」
恵「知ってる……俺も。」
恵はそのまま彼女を抱き上げると、ソファに深く沈ませた。
瞳が交差する。
息が熱を帯びて絡まり合い、肌の上を這う視線が全てを脱がせていくようだった。
恵「……触れて良い?」
その言葉にみみはうなずき、手を伸ばして恵の頬に触れる。
「恵が、欲しいの。」
その一言で、彼の理性は崩れ落ちた。
手のひらが肌の上を這い、指先が布の上から輪郭をなぞる。
胸元の布地がずり落ちるたび白い肌が柔らかく照明に照らされ、露わになっていく。
恵の唇がそこに落ち舌が甘く撫で、歯が軽く食い込んだ。
「ん……っ、だめ、そんな、急に……。」
抗う声も恵の指が太腿の内側に触れた瞬間、甘く溶ける。
恵「もう、我慢したくない。」
「してないでしょ……。」
唇を塞ぐように重ね、声ごと奪う。
脚を絡め、指を絡め体温を混ぜ合わせていく。
重なった肌と肌の間に生まれる摩擦が快楽へと転じていき互いに吐息を漏らすたび、感情が剥き出しになる。