第11章 愛される呪い
反射的に首をすくめようとするが、もう身体は自分のものではない。
指先ひとつ動かすこともできない。
「……やめ、て……っ。」
喉から漏れた声は、掠れて弱々しかった。
対する呪霊は、その言葉に笑みを深くする。
呪「それは本心? この震え何??熱はどこから来てるの?」
呪霊の術式は、女の神経系をじわじわと掌握していた。
筋肉の微細な動き、皮膚の温度、呼吸の速ささえも支配し自分に都合の良い反応を引き出していく。
それはまるで自分の意思で悦びを選んだかのような“錯覚”を与える、残酷な快楽。
(──違う。これは私の本心じゃない。なのに……。)
女の腰が、わずかに震えた。
呪霊の指が太腿の内側をなぞると鳥肌のような戦慄が肌を這い、熱が奥からふつふつと湧いてくる。
普段なら絶対に許さない距離、拒絶すべき手つき。
だが、今の彼女はそれにすら快楽の予兆を感じてしまっていた。
「……は……ぁ……っ。」
自分の吐息が、どこか艶を含んでいることに気づき唇を噛む。
羞恥と混乱、恐怖と抗いが全身を支配しているはずなのに身体だけは──
まるで悦びを欲しているように反応していた。
呪「焦らずに。君の体の奥底に、どこまで快楽が沈んでいくのか……確かめてあげよう。」
呪霊の声は低く、囁くように耳元で響く。
そして指が下着の布を押し上げ、濡れ始めた部分をゆっくりと撫でた。
「……っや……! だめ、そんな……!」
声が裏返り、女は涙を浮かべる。
だが、それと同時に秘部は明らかに熱と湿り気を帯びていく。
指がそこに触れるたび奥からとろりとした感触が滲み、呪霊は愉悦を浮かべる。