第11章 離れゆく心
すぐに戻ってきた彼はTシャツを着せてくれて、そのままリビングまで抱えてくれる。
ソファに降ろされると足に膝掛けを掛けられて、服を着た彼に髪を乾かしてもらった。
「寝なあかんな。」
「副隊長も寝ますか。」
「僕はもう少し起きとるよ。」
ここにいますと言って横になる。
座ってられない。
どのくらいかすると熱計ってと脇に体温計を差し込まれて目を瞑った。
また寒くなってきた。
ピピッと鳴った体温計を取られてボーッと彼を見つめる。
「うーん、下がらんな。明日も休むか?」
首を振って答える。これ以上は迷惑をかけられない。解熱剤を飲めば大丈夫だろう。
額に冷えピタを貼られて、冷たさにぶるぶる震える。
「おいで、温めたる。」
こちらを向いた副隊長は私を抱き起こし、腕の中に閉じ込めた。
そのままいつの間にか眠ってしまい、ベッドに行こうと起こされて、鎮痛剤を飲まされた。
私をベッドに降ろすとまた寝室を出ていったがすぐに戻ってきて、スポーツドリンクを手渡される。
少し飲んでキャップを閉めると彼はナイトテーブルに置き布団の中に入ってきて、ちゃんと寝ぇやと布団を肩まで掛けてくれた。
おやすみと背中を向けた彼を見て目を瞑ったが眠れない。
ソファでは寝れたのに…。
息苦しくて口で息をしていると勝手に涙が出てきて枕を濡らす。
「寝れへん?」
こちらを向いた彼に頷いて近付いた。
すると抱き締めてくれたので、安心して眠りについた。